【余録】ロシアの近代化に道を開いたピョートル大帝は大変な花火マニアだった。

ロシアの近代化に道を開いたピョートル大帝は大変な花火マニアだった。新首都サンクトペテルブルクの一角に花火研究室を作り、そこで新しい花火を開発させた。そればかりか自ら花火を作り出し、打ち上げや仕掛けの演出もしたという

大帝が火薬の配合を記したノートが残っているし、モスクワで行われた大花火では自身が考案した色火による人物像が描かれた。スウェーデンとの北方戦争では戦勝祝賀の花火や、戦闘を模した仕掛け花火も現れたという

ただ花火の研究室は、火事を起こして丸焼けになったから、何もかもが思い通りだったわけではない(清水武夫著「花火の話」)。話変わってこちらは国の政治や経済の近代化に背を向け、国民の窮乏をよそに危険な火遊びに熱中する独裁者のいまわしい道楽である

北朝鮮はきのう朝鮮半島北東部で観測されたマグニチュード4.8の揺れにつき「水爆実験に成功」と発表した。思い起こされるのは、先ごろ金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が「水爆の爆音を響かせる核保有国になった」と発言した後、北の楽団の北京公演が急に中止された一件だ

テスティングは実験のことだが、子供がわざと保護者を困らせて自らへの関心を試す児童心理をもいう。北の核のテスティングが周辺諸国の関心を引き、米国との交渉を求める問題行動なのは以前と変わるまい。だが「水爆」をひけらかす段階にたち至っては、国際社会も今までの対応ですますわけにいかない

北の経済を支えてきた中国もこのテスティングはさぞや腹立たしかろう。花火代わりに核をもてあそぶ絶対君主気どりを許してはならない21世紀である。

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