1匹2000万円!?棚田育ちニシキゴイ 海外富裕層が注目 輸出額倍増 新潟県長岡市


1匹2000万円!?棚田育ちニシキゴイ 海外富裕層が注目 輸出額倍増 新潟県長岡市 | 日本農業新聞

豪雪地帯の新潟県長岡市山古志や川口地区の棚田で育てたニシキゴイが、「NISHIKIGOI」として海外から注目を浴びている。
富裕層からの引き合いが強く輸出額は年々伸び、養鯉(ようり)業を継ぐ若者も出てきた。
農家のなりわいとして暮らしを支え中山間地域の景観維持につながっていることから、市は3月の世界農業遺産と日本農業遺産のダブル登録を目指す。

ニシキゴイなど観賞魚の全国輸出額は2015年が37億円。
10年前の06年(19億円)と比べ倍増している。
主な輸出先は香港や中国、ベトナムなどアジアやロシア、欧米など30カ国以上に及ぶ。

販売価格はコイの大きさや容姿などで異なるが、2歳以上の成魚でおおむね1匹1万~10万円。
品評会向けの大型魚になれば、100円を超す取引もざらだ。
中国では高額な日本のコイを飼うことが成功者の証しとされ、「1匹2,000万円を出す富裕層もいる」(関係者)と言う。

その屈指の産地が、長岡市と小千谷市の山間部にある二十村郷地域だ。
古くから米に加え、冬場の貴重なタンパク源として棚田でコイを育成。
そのコイが突然変異した「色鯉」を改良したのがニシキゴイで、この地が発祥とされている。

秋には池からコイを水揚げしいけすに移す「池上げ」を見ようと外国人が押し寄せ、「どの宿泊施設も満室で、外国人であふれる」(長岡市錦鯉ブランド戦略室)ほどだ。

地震が転機 国際組織も

なぜ、ここまで海外から注目されているのか。
転機となったのは04年の新潟県中越地震。
最大震度7の激震が襲い、棚田や養鯉設備は壊滅的な打撃を受けた。
産地を救おうと全国の養鯉と流通業者が支援。
インターネットで危機を訴えると、30カ国から義援金が集まった。
05年には海外へのPRを強化しようと、養鯉業者でつくる「国際錦鯉普及センター」が発足。
海外の愛好家向け飼育マニュアルを発行するなど販路拡大を進めてきた。

そこに近年の訪日外国人の増加が重なり、“KOIKICHI(こいきち)”と呼ばれる海外の愛好家も登場した。

旺盛な海外の需要を受け地域にとどまる若者は多い。
180戸の生産者でつくる長岡市錦鯉養殖組合のほとんどで「後継者がいる」と言う。
需要が頭打ちの国内の販路を開拓しようと、同組合の青年部は池ではなくコイの水槽飼育を提案する。

世界 日本 W農業遺産めざす

市も動きだした。
「雪の恵みを活(い)かした稲作と養鯉」を前面に押し出し、世界農業遺産と日本農業遺産の取得を目指す。
市錦鯉ブランド戦略室の戸田幸正室長は「水田をコイの養殖にも活用することで耕作放棄地になりにくく、渇水時には貯水機能を果たす。多面的な価値を持つニシキゴイの生産は世界に通じる農業遺産だ」とアピールする。(福井達之)

Posted by 日本農業新聞 2017年01月19日