LIXIL ものづくりの歴史 アルミ樹脂複合サッシ

LIXIL アルミ樹脂複合サッシ

アルミ樹脂複合サッシ
1997 時代の一歩先を読んだ、“エコ”で“省エネ”なアルミ樹脂複合サッシ

新しい時代の波

バブル崩壊による経済停滞期の最中にあった1997年。
消費税が3%から5%に上がり、ハイブリッドカーが発売されるなど、エコや節約というキーワードに人々の関心が高まりはじめていた。

これまでの技術を継続するか、新しい技術を開発するか

そんな時代に生まれたのが、インテリア断熱サッシの「アルプラ70」だ。それまで断熱サッシといえば、北海道などの厳寒地向けに限定されていたが、来たるべき省エネ時代に向け、各メーカーは本州向けの商品開発に本腰を入れ始めていた。

断熱窓市場では、サッシのアルミ形材を室外側と室内側に分離させ、熱を伝えにくい樹脂部材で繋ぐことで、熱の伝わりを遮断する「熱遮断サッシ」と、サッシの外側にアルミ、内側に樹脂を組み合わせることで断熱性を高める「アルミ樹脂複合サッシ」が、しのぎを削っていた。

「アルプラ70」はアルミ樹脂複合サッシ。風雨にさらされる外側には耐久性と耐候性に優れたアルミを使用。内側にはアルミに比べて熱伝導率が極めて低い樹脂を使うことで外気の影響をおさえるなど、優れた強度と断熱性を兼ね備えていた。しかし問題もあった。当時、本州の住宅は外側も内側もアルミのサッシが主流。外側がアルミで内側が樹脂という“内外色違いサッシ”には、抵抗があると予想された。開発スタッフは悩んだ。

「このままアルミ樹脂複合サッシでいくか、それとも熱遮断サッシを新たに開発するか──」

連日議論を重ねた結果、選んだのは「アルミ樹脂複合サッシ」だった。単に技術の蓄積があったからではない。そこには明確な勝算があった。まずは断熱性。寒冷地で住宅の壁が厚い北海道では、サッシ枠の見込み(枠の奥行き)は105ミリが基準。しかし、この商品は本州向けに70ミリまでサイズダウン。薄くなったが、間に空気層を設けるなどして、以前より断熱効果を上げることに成功した。続いて見た目。内外色違いを逆手にとり、“サッシも内装に合わせて色を変えるべき”とアピール。樹脂に木粉を混ぜて木目調を再現したインテリア性の高いサッシは評判となり、この年のグッドデザイン賞を受賞した。決定打は“分別のしやすさ”だった。アルミ樹脂複合サッシは、アルミと樹脂のパーツを個別に組み合わせるため、簡単に分離・分解できる。しかし、熱遮断サッシは、サッシの中に樹脂を一体的に挟み込んでいるので、分解するのが難しかった。

「いずれは、廃棄のしやすさが重要となる時代が、きっとくる」

その読みは見事に当たった。いまや、断熱サッシの市場はアルミ樹脂複合サッシが主流。まさに先見の明があったわけだが、お客様がサッシに求める“省エネ”と“デザイン性“のニーズは、これからも高まっていくだろう。

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