吉村美栄子知事は18日の記者会見で、暖冬で降雪量が少ないため、29〜31日に寒河江市の最上川ふるさと総合公園で開かれる「やまがた雪フェスティバル」を一部変更して実施することを発表した。雪を楽しむイベントを一部取りやめる代わりに打ち上げる花火を倍に増やす。「マイナスのイメージが強い雪を活用し、『雪で潤う』というプラスのイメージに変えたい」と述べた。全額国の地方創生関連の交付金を活用した予算総額7,000万円は変えず、冬のにぎわい創出に全力を尽くす考えを示した。
中止が決まったのは、スノーチューブやスノーモービル。公園内に積もる雪を活用する考えだったが、14日時点で積雪はほとんどなく、「十分な安全性の確保が難しい」と判断した。西川町から雪を運んで制作するシンボル雪像は高さを当初の10メートルから6メートルに縮小する。「最上川舟運」の船を宝船に、県の「きてけろくん」や寒河江市の「チェリン」などのゆるキャラを「七福神」に見立てて作るとした。一方で、30日夜の花火は500発を1,000発に増やす。
このため、予算の内訳は一部変更した。雪の運搬費や制作費は4,500万円から2,760万円に減額する。半面、「利便性の向上」を理由にシャトルバスや仮設トイレ、花火を増やすことで、イベント運営費用を2,100万円から3,400万円に増やすとした。目標来場者数は当初7万人を見込んだが、吉村知事は「より多くしたい」との考えを示した。
また、吉村知事は雪フェスを「海外からの誘客の足がかりにしたい」と位置付けている。台湾からの観光客約150人やタイの八つの旅行会社の関係者が、期間中に雪フェスを訪れる予定。台湾から山形空港へのチャーター便は今月と2月に9往復が予定されているという。
山形大人文学部の山田浩久教授(観光学)は「単年度の取り組みに終わらせないように努力を」と指摘する。県と西村山1市4町が一つのイベントを企画する姿勢はよいと評価した一方で、「観光客に認知してもらうには4、5年はかかる。7,000万円も予算をかけ、自治体同士のネットワークを作ったのだから、雪が降っても降らなくても継続する必要がある」とした。
Posted by 毎日新聞